こんにちは!福祉美容室リベルタのひとみです☆
最近では「バリアフリー対応」や「障がい者受け入れOK」と表示している美容室も少しずつ増えてきて、
とても嬉しい変化だなと感じています。
でも一方で、実際に福祉美容の現場でお客様と接していると、
「《受け入れます》と書いてあったのに断られてしまった…」
「迷惑をかけるかもと思って、予約の電話ができませんでした…」
そんな声をいただくことも少なくありません。
美容室の側は「大丈夫ですよ」と思っていても、
実際に来店するまでには、たくさんの不安・心配・遠慮があるということ。
その“すれ違い”に、なかなか気づけないこともあるんです。
今回は、障がいのある方やご家族が安心して美容室に通うために、
そして美容師側も「どうすればもっと受け入れられるのか?」を考えるために、
【《受け入れます》だけじゃ足りない理由】を、美容師の立場からお話ししていきたいと思います☆
ほんの少しでも、誰かの心がふっと軽くなったり、
「こんなふうに考えていいんだ」と思えるような、
そんな時間になれば嬉しいです♪
「受け入れます」と書いてあるのに…来られない理由とは?
最近は「バリアフリー」「障がい者歓迎」と書かれている美容室も増え、
見た目には“受け入れ体制が整っている”ように感じることもあるかもしれません。
でも実際には、そう書いてあっても、
来店をためらっている方がとても多いのが現実です。
◆ 受け入れと、安心できるかは別の話
「車いすのまま入れます」と言われても、
・狭い通路で本当に動けるのかな?
・他のお客様の迷惑にならないかな?
・どんな対応をされるかわからない…
そんなふうに感じてしまうこと、ありませんか?
お店側が「大丈夫ですよ!」と言っていても、
その“安心感”が本当にお客様に届いているかは、また別のことなんです。
◆ ことばだけでは伝わらない「空気感」
障がいのある方にとって、初めての美容室に行くのは大きな勇気がいります。
どんな人がいて、どんな雰囲気で、どんな風に接してくれるのか…。
ほんの少しの“視線”や“間”ですら、緊張の原因になることがあります。
つまり、「受け入れます」と表示されているだけでは、
不安のタネをなくすことはできないんです。
◆ こんな声をいただいたことがあります
「受け入れOKと書いてあったのに、車いすだとわかったら“今日は無理です”って断られてしまいました」
「他のお客さんの迷惑にならないようにって、予約時間を制限されてしまって…」
これは決して悪意のある対応ではなく、
サロン側も《どうしていいかわからなかった》だけかもしれません。
でも、言葉にして表示するだけでは届かないことがある──
それが、このテーマの“すれ違い”のはじまりなのかもしれません。
次は、そうしたすれ違いがなぜ起きてしまうのか?
美容室の立場から見える「気づきにくい壁」についてお話ししていきます!
美容室側が気づきにくい“見えない壁”
「障がいのある方でも大丈夫ですよ」と伝えているつもりでも、
実は美容室の側が気づかないまま残してしまっている壁がたくさんあります。
その多くは、「設備」や「環境」よりも、
もっと空気的なもの・気持ち的なものであることが多いのです。
◆ たとえば「予約の取り方」がハードルに
多くの美容室はネット予約や電話予約が基本ですよね。
でも、もしお客様が:
・電話で話すのが苦手な方だったら…?
・伝えたいことを整理して話すのが難しい方だったら…?
・介助者の都合が不確定で予約しづらい状況だったら…?
そうした事情がある中で、
「普通に予約してくださいね」と言われるだけで、
“自分にはハードルが高い場所だ”と感じてしまうことがあります。
◆ 「他のお客様の目線」も壁になることがある
静かな店内で声が大きくなってしまったり、
施術中に動きが出てしまったり。
障がいのあるお客様がふとしたことで周囲の視線を感じたとき、
美容室で安心して過ごすことが難しくなってしまう場合があります。
もちろん、美容師側はまったく気にしていなくても、
“気を遣わせてしまっているかも”という空気が、お客様の心を遠ざけてしまうことがあるのです。
◆ 美容師が「経験がない」こと自体が壁になる
正直なところ、美容師自身が
「障がいのある方の施術に慣れていない」
「どう接したらいいのかわからない」
というケースも少なくありません。
特別な対応が必要と思い込みすぎて、
結果的に「難しそう」「怖い」と感じてしまい、
受け入れたい気持ちはあっても行動につながらないということもあるのです。
このように、美容室側には悪気がなくても、
結果的に“目に見えない壁”が立ちはだかっていることがあります。
では、どうしたらその壁を少しでも取りのぞけるのか?
次は、リベルタが大切にしている【考え方と工夫】についてお伝えしますね☆
障がいがあるから…ではなく「その人に合わせる」視点へ
美容室リベルタでは、福祉美容に取り組む中でたくさんの出会いがありました。
その中で私が強く感じたのは、
「障がいがあるから特別なことをする」という発想ではなく、
“その人に合った方法を一緒に見つける”ことが大切だということです。
◆ 障がい=カテゴリではない
たとえば、同じ「車いすユーザー」でも、
・長時間座っていられる方もいれば、短時間しか無理な方もいます
・体は元気だけど、話すことが難しい方もいれば
・コミュニケーションは得意だけど、感覚過敏がある方もいます
つまり、「障がい」というくくりだけでは、その人の困りごとや希望は決して見えてこないんです。
◆ 大切なのは「聞くこと」「想像すること」
リベルタでは、ご予約の時点から
「どんなサポートが必要ですか?」
「不安に感じることはありますか?」
と、できるだけ丁寧にヒアリングさせていただいています。
事前に少しでもお話を聞いておくだけで、
当日もずいぶん気持ちがちがいますし、
何よりお互いに安心して施術に向き合えるんです!
◆ 特別なスキルがなくても、できることはたくさんある
・少し長めの時間枠を取る
・周囲に配慮した静かな席をご案内する
・シャンプーのタイミングで「水がかかりますね」と声をかける
ほんの小さなことでも、その人の不安を減らし、信頼を積み重ねることができます。
美容師の私たちにできることは、
「対応する」よりも「寄り添う」ことなのだと日々実感しています。
次は、実際にどんな工夫や提案が、お互いにとって安心につながるのか?
より具体的なお話をしていきます!
お互いに安心できる場所をつくるためにできること
「障がいがある方を受け入れます」と言っても、
それが《安心して来てもらえる環境になっているかどうか》は、また別の話です。
では、どうすればお互いにとって心地よい美容時間が生まれるのでしょうか?
ここでは、リベルタで実際に行っていることや、他の美容師さんにも参考にしていただけそうな工夫をご紹介します☆
◆ 1. 事前のヒアリングは“できる範囲でOK”の気持ちで
「障がいがある方」と聞くと、すごく丁寧な準備が必要と思ってしまうかもしれませんが、
大事なのは、事前に少しだけ“お話を聞かせていただく”こと。
リベルタでは、お電話やLINE、ご本人やご家族からのご相談を通して、
・どういった点が不安か
・どんなサポートがあると安心か
・付き添いがあるかどうか
・音や光、会話などの感覚的な配慮が必要かどうか
などを、「わかる範囲だけで大丈夫ですよ」とお声がけしながらお聞きしています♪
◆ 2. 長めの時間を確保して焦らず施術できるように
施術のペースや動き方には、個人差があるのが自然です。
なので、あらかじめ通常より少し長めのお時間を確保することで、
こちらも焦らず、ゆっくり寄り添いながら施術ができます☆
「時間が足りない」と感じると、どうしてもお互いに緊張感が出てしまうので、
時間にゆとりがあるだけでも、安心感はぐっと増しますよ♪
◆ 3. 周囲のお客様への配慮や工夫
もし声が大きくなったり、音や動きが気になる場面があったとしても、
他のお客様に驚かせないように、席の配置やお声がけなどでさりげなくフォローしています。
「何も言わずにただ見守ること」が、結果的に最良の対応になることもあるんですよね。
◆ 4. 失敗してもOK!という気持ちで向き合う
どれだけ準備をしても、当日なにかうまくいかないこともあるかもしれません。
でも大事なのは、「完璧に対応しよう」ではなく「一緒に考えよう」という姿勢だと思っています☆
美容師側も、お客様側も、「だいじょうぶかな?」と不安になることがあるのは当たり前。
だからこそ、気負いすぎず、でも真剣に向き合うことが大切です☆
「あたりまえに通える場所」が増えますように
美容室は、「髪を整える場所」であると同時に、
その人が“自分らしくいられる時間”をつくる場所でもあると思っています。
だからこそ、障がいがあるかどうかに関係なく、
もっと気軽に、美容室に行ける社会になってほしい──
そう願いながら、リベルタは日々お客様をお迎えしています。
◆ ほんの少しの“ゆとり”と“想像力”で世界は変わる
特別な設備や技術がなくても、
・予約時の聞き方を変えてみる
・椅子の位置を少し調整する
・ゆっくり話す時間を取る
そんなほんの少しの工夫や配慮で、
「このお店、来てよかったな」と感じてもらえる空間に変わります。
そして、その積み重ねが、
『美容室って、あたりまえに通える場所だよね』という社会の空気を育てていくと信じています。
◆ 迷っている方がいたら、まずは話しかけてくださいね
「迷惑をかけたくないから」
「断られるのが怖くて、聞けなかった」
そんなふうに悩んでいる方がいたら、
どうか一人で抱え込まずに、そっと声をかけてください。
リベルタは、完璧じゃないかもしれないけど、
いっしょに考えて、いっしょに試してみる場所でありたいと思っています。
どんな人でも、どんな髪でも。
美容室は、《安心して、自分らしくいられる場所》であってほしい。
その想いを、これからも大切にしていきたいです☆

